
こんにちは。気づけば、9 月ももう終わりに近づいてしまいました。本来、8 月のニュースレターは「夢が叶った 29 歳?(下)」になるはずだったのですが、8 月は本当にいろいろなことがあり、書き留めたばかりのことも、数日たつと考えが変わっていました。
そのときの気持ちを先に書いておくか、考えがまとまるまで待つか、ずっと迷っていました。6 月と 7 月のニュースレターの間ですでに一度心境が変わっていたので、同じことを繰り返したくなくて、今回は少し落ち着く時間を取ることにしました。
7 月にビザを受け取って日本に戻ったとき、僕はやる気に満ちていました。長年の夢が叶い、台湾ではひとつの区切りを迎えたような感覚もありました。これからは日本で頑張ろう。異国に来たからには、本領を発揮しよう、と。
台湾にいた頃は、やりたい計画がいくつもあったのに、思い切って取り組めませんでした。日本に行くという目標から気がそれてしまうのが怖かったからです。いくつかは試していたものの、時間がたつにつれて焦りが増し、日本に行くことと関係のない活動は少しずつやめていきました。ニュースレターも、台湾を離れてからようやく真剣に書くようになりました。
でも今は、もう日本に来た。やりたかったことを、やっと全部再開できる!
この考えが、燃え尽きるきっかけになりました。そしてこれも、「日本に行く」という旗を掲げることで向き合わずに済ませていた事実のひとつでした。「やりたいことを全部やるのは無理なんだ」と。
折しも、やる気にあふれていた僕のところに、本当にチャンスが舞い込んできました。受託の仕事があり、編集者から執筆の依頼があり、参加しているオープンソースプロジェクトではスポンサーシップの機会もありました。どれも台湾にいた頃はいったん保留にしていたことだったので、全部引き受けました。
台湾に戻る前にも 1 か月近く働いていて、そのときは順調でした。でも、ビザを取って戻ってから状況が急変しました。前の記事で書いた 今の仕事の難しさ について、8 月に実際にシフト勤務が始まると、体が本当についていかないことに気づきました。
深夜に働くこと以上につらかったのは、シフトの組まれ方でした。たとえば月曜は朝 4 時、火曜は深夜 1 時、水曜は朝 9 時。寝る時間も食べる時間もめちゃくちゃになりました。それ以外にもいろいろありましたが、ここでは詳しく書かないでおきます。
平日は仕事と睡眠だけ。休日は受託の仕事、執筆、オープンソースの活動。心身の負担が少しずつ積み重なっていくのに、立ち止まって考える時間もありませんでした。
8 月のある日、深夜の仕事が終わると、窓の外にはまぶしい日差しが広がっていました。外が明るいうちに仕事を終え、その日、退職しようと決めました。
在籍期間が短すぎて次の仕事が見つからないかもしれない。始まったばかりの日本での生活が終わってしまうかもしれない。そういう不安はありました。でも、これは僕が歩いていける道ではありませんでした。
社内には、こういう働き方に適応できる人もいます。辞める前にようやく話せた正社員の方は、大学時代から居酒屋でアルバイトをしていたので、深夜に働くことには慣れているそうでした。別のチームにいるアメリカ人は、ほとんどいつもオンラインで、Teams の緑のランプがいつ見てもついていました。
でも、ほかの人にできるからといって、自分にもできるはずだとは限りません。僕は、自分にできることをやっていかないといけない。
頭では、いろいろな段取りや計画を立てられます。でも、実行するとなるとまた別の話です。キャリアブレイクから戻ったばかりなのに、すぐ辞めるのはやっぱり怖い。履歴書の空白が増えていくのも不安で、もう少し頑張れと自分に言い聞かせたくなりました。でも日がたつにつれ、あとどれだけ耐えられるか、その期限は短くなっていきました。ビザの更新まで、年末まで、10 月まで。そして最後は上司に状況を伝えて話し合い、今月だな、と思いました。
以前は、できない自分はダメなんだと思っていました。今は、その道が自分の道ではない可能性も考えるようになりました。まだ能力が足りないのかもしれないし、努力が足りないのかもしれない。あるいは、単に合わないのかもしれません。
できるかどうかは、自分の心身がいちばん先に教えてくれます。少し前は何を食べても味がせず、スマートバンドの睡眠スコアはずっと低く、体のあちこちが痛み始めていました。今の状況は、もう自分が抱えられる範囲を超えているのだとわかりました。
本当の意味での「無」
今回の退職は、本当の意味で「無」になることなのかもしれません。1 年近いワーキングホリデーも、ワークが中心で、ホリデーはおまけでした。オーストラリアでも日本でも、アルバイトの労働時間は正社員並みで、休暇の時間はあまりありませんでした。
今回はアルバイトの予定を入れていません。まずは気持ちを落ち着けて、考える時間にしたい。転職活動の準備や、ほかに引き受けたことの仕上げも進めますが、自分のための時間をもう少し残したいと思っています。
ワーキングホリデーや大きな旅に出れば、不思議といろいろなことが腑に落ちると思っていました。でも、考えたり、経験を自分の中で消化したりする時間を取らず、受け身で吸収して体験するばかりでは、得られるものにも限りがあります。
最近、You Need to Be Bored. Here's Why. という講演がおすすめに出てきました。退屈で、頭が外からの用事に占領されていないとき、脳はデフォルト・モード・ネットワーク(Default Mode Network)の状態に入るそうです。そういうときに、「生きる意味とは何か」といった人生の大きな問いを考える。その思考には少し居心地の悪さも伴いますが、人生の目標を形にしたり、幸福感を高めたりする助けになる、という話でした。
最近つらくなると、オーストラリアにいた頃のことを思い出します。たった 4 か月でしたが、心からくつろぐことや、幸せを感じることができました。あの時期がいちばんよく退屈していて、その状態をいちばん自然に受け入れられていたからかもしれません。特に、オーストラリアの人たちが日なたでのんびりする習慣は、退屈を味わうことの極みのようでした。この感覚は『DIE WITH ZERO』に出てくる「記憶の配当」にも似ています。面接のたびに履歴書の空白を説明しなければいけなくても、やっぱり行ってよかったです。
余白を取り戻す
日本に戻ってからは、時間のほとんどが仕事で埋まっていました。すきま時間にも、ついスマホを取り出してしまいます。SNS を見たり、記事や漫画、小説を読んだり。自分の余白をほとんど全部埋めていました。
毎日、大量の、でも必ずしも役に立つわけではない情報に触れて、頭の中はいつもいろいろな考えや声でいっぱいでした。振り返ると、かなり気が滅入る状態だったと思います。
仕事がなくなっても、そうした習慣まで消えるわけではありません。時間も「ぱっ」と湧いてはきません。相変わらず、なぜか時間が過ぎてしまうことがよくあり、感情も振り回されます。
一瞬で変えられなくても、毎日少しずつ進めればいい。むしろ、それが普通なのかもしれません。これまでの僕は、何もかも壊して一からやり直そうと、急ぎすぎていた気がします。
たとえば、SNS や娯楽用のアプリを 1 日に 5 回を超えて開くとロックがかかるようにしました。数日前までは、回数を超えても何度も解除して、1 日に 20 回以上開いていました。でも、この記事を書いている今は、もうそのアプリを削除して、パソコンか iPad でだけ使うようにしています。
以前にも SNS の利用ルールを決める と書いていたのに。ワーキングホリデー中は体を動かす仕事だったのでスマホを使わずに済んでいましたが、オフィスに戻った途端、元に戻ってしまいました。ソフトウェア開発に復帰したばかりで、多少の FOMO があったのだと思います。AI の情報を追って、みんながどう使っているのか、新しいものが出ていないか知りたくて、気づけばまた渦に巻き込まれていました。
やりたいことを全部できないのと同じように、今起きていることを全部知る必要もないのかもしれません。以前読んだ 知りたくないことは知りたくない を思い出しました。
それに、SNS よりも、自分に合った情報の取り入れ方を作ることのほうが大事です。
スマホを使う頻度も、もっと減らしたいと思っています。あなたのスマホはあなたのものではない を読んで、その気持ちがさらに強くなりました。以前はいろいろなメモアプリを渡り歩いていましたが、今は紙とペンを再発見しました。出かけるときはポケットサイズのノートを持ち歩き、何か思いついたらそのまま書く。必要なら、あとでデジタルに保存すればいい。
まずは余白を取り戻す。退屈を感じながら、日本や台湾、ソフトウェアエンジニアという仕事、そしてこれからどんな道を歩けるのかを考えていきたいです。
おわりに
ここまで読んでくださって、ありがとうございます!
今回は近況報告寄りの記事になりましたが、ニュースレターの方向性も少しずつ見えてきました。今のところは「公開日記」。ただ、特定のテーマについて書く記事も出していくつもりです。書きながら探り続けて、書きたいことの輪郭をもう少しはっきりさせていきたい。その道のりに、付き合ってもらえたらうれしいです!
冒頭では少し落ち着く時間を取りたかったと書きましたが、それでも月 1 回のニュースレターは、あまり簡単に見送らないようにしたいです。こういうのは本当に習慣になります。7 月は 1 日遅れただけだったのに、8 月は丸ごと飛ばしてしまいました。今年残りの 3 か月で、毎月公開するリズムをもう一度作ってみます。
夢が叶った 29 歳? の後編は、10 月のニュースレターにする予定です。ここでは書ききれなかった気持ちを、そちらでお話ししようと思います。もう少しだけお待ちください!
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