🌊雑記約 1,754 文字

シェアハウスの「古き良き日々」

私は今も、「セーブポイント更新」に書いたシェアハウスに住んでいる。

あの記事に登場した人たちは、今ではみんなここを出ていった。フランス人は帰国し、アメリカ人はしばらく京都に住んでから帰国した。ドイツ人もそのあと、埼玉のシェアハウスへ引っ越した。

数日前、そのドイツ人が、以前ここに住んでいたインドネシア人を連れて戻ってきた。

ドイツ人はワーキングホリデーのビザが切れ、就労ビザにも切り替えられなかった。日本を離れる前に、半年暮らした場所をもう一度見たかったのだ。

埼玉に引っ越してからもここが恋しくて、途中で何度か戻ってきたという。彼いわく、ここは確かに向こうより汚くて古い。それでも、ここで自分の好きな日常をつくっていた。古びたジムで運動し、ボクシングに出かけ、午後は散歩する。夜は共有スペースに戻り、フランス人やほかの住人たちがわいわい騒ぐのを眺める。

ドイツ人とインドネシア人によると、ここがいちばんにぎやかだったのは去年の冬ごろらしい。私が四月に引っ越してきたころには、みんなそれぞれの道へ向かう準備をしていた。それでも、最後のにぎわいには間に合った。

そのころは、木工のインターンに来たフランス人の女性、リモートで働くスペイン人のかっこいい年上の男性、英語を教えるイギリス人の DJ もいた。

フランス人の女性は英語があまり得意ではなく、日本語も話せなかった。それでも、買ったものや出かけた場所など、いつも楽しそうにみんなに話していた。スペイン人の男性は、本場のクロケッタ(Croquetas)を作って食べさせてくれた。出ていく前には、自分で買った小さな家具もいくつか譲ってくれた。

イギリス人の DJ はまだ東京にいるので、今週また会いに行く。以前、彼とスモールトークについて話したことがある。彼が「元気?」と聞くのは本当に相手を気にかけているからで、「All good」とひと言返してほしいだけではないそうだ。ここまで書いていて思い出した。今年の誕生日には、スペイン人の男性と彼が鳥貴族に連れていって祝ってくれた。

彼らがいなくなったのは、ちょうど私が前の会社に入るころだった。シェアハウスはすっかり静かになった。しばらくはインド人の住人たちが集まっていたけれど、中心になっていた人が日本を離れてドバイへ行くと、その集まりもなくなった。

欧米出身の人たちの話ばかりしているけれど、実際には日本人の住人がいちばん多い。なかでも、退職した日本人の女性と日本人の男性は、ほかの住人とよく交流していた。女性は私が引っ越してきたばかりのころ、近所の中華料理店に連れていってくれた。共有スペースで会うたびに私を気にかけ、日本に住み続けられるといいねと言ってくれた。今月、息子さんと暮らすために引っ越していった。

日本人の男性は、たぶんまだここに住むと思う。もう何年もいるらしい。訛りが少し強くて、私には聞き取れないこともあるけれど、とても親切な人だ。言葉がうまく通じなくても、ほかの住人を助けている。

台湾人はというと、私が来る前から一人いて、最近さらに三人が引っ越してきた。長く住んでいる人は在宅勤務で、生活リズムがとても規則正しい。食事の時間はいつも午後一時と夜七時だ。中国語で誰かと話したいときは、その時間に合わせて共有スペースで食べる。わからないことがあれば彼に聞くこともある。別の台湾人とは、昨日ようやく廊下で話した。ワーキングホリデーで来ていて、この先も日本に残るかどうか迷っているそうだ。

最近シェアハウスで顔を合わせるのは、喫煙室によくいるネパール人の女性、インドネシア人のアニメーター、生活リズムの決まった台湾人、そして長年住んでいる日本人の男性だ。たまに言葉を交わすけれど、共有スペースは以前ほどにぎやかではない。

シェアハウスはそういう場所だ。人は次々にやって来て、また去っていく。長く住み続けるほうが珍しい。

ちょうど今日で、私もここに住んで半年になった。本当はこの時期に引っ越すつもりだったけれど、予定どおりにはいかなかった。新しい仕事が決まってから引っ越そうと思う。来年の初めには引っ越せるといい。そのときは私も、ここを去った人たちの一人になる。

ある時期が美しい思い出になるのは、まだ楽しいまま終わったからかもしれない。そのあともずっと、残った余韻を味わっていられる。

今でも、オーストラリアやスキー場でワーキングホリデーをしていたころを思い出す。でも、あのままもう少し長くいたら、あるいは今あの場所に戻ったら、記憶の中ほど美しくは感じられない気がする。

今の暮らしを大切に過ごそう。何気ない今日の日々も、いつか未来の自分にとっての Good Old Days になるかもしれない。

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